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オヤジ達よバーへ行こう7
オヤジFの場合 大御所で居てください
そのオヤジは、スコッチウィスキーの蒸留所スタッフ三人と一緒に 来店された。
スタッフ三人、もちろんスコットランド人。あとオヤジの会社の若手三人とオヤジ。計七人。
以前にその「トマーチン蒸留所」のプラントを受けたという話を聞いたことを思い出した。
「何かご説明いたしましょうか?」
「いやいや うちの若い者がやるから いいよ」
「あ、はい」
オヤジは満面の笑顔。
その先の光景といえば、オヤジを真ん中に据えて、周りをSPが固めているように、その若者たちの英語の流暢なこと・・ほんま・・もう・・ベラベラ。
俺の「オールウェイズ・トーキング・アメージングイングリッシュ」
だったら 大恥 間違いなしやったわ・・・
しかもオヤジまで ベラベラ
「凄いな このオヤジ タダ者ではないな・・ 」
数年後 オヤジは 定年を迎えた。
でも会社は離してくれないそうな。
「いやあ、もう頑張ったからね。きっぱり辞めたいんだけどね」
体もしんどいからと言う顔は笑顔また笑顔。
「けっこう今を楽しんでるやんか オヤジ」
今では年に数回しか神戸にいらっしゃらないオヤジ。
友人達とのワイン会に顔を出し、試飲会などの宴の後には必ず顔を出してくれる。
「オヤジ もう知らないお酒なんてないでしょ?」
「何言ってるんだよマスター。世界には三十万種類のワインがあるらしいよ。一日一本 十年、二十年・・たかだかしれてるよ」
まあ、計算としては 分かる気もしますが・・一日一本って・・
私は、オヤジにコニャックのシングルモルトと称される「ポール・ジロー」を教えてあげた。
「旨いねぇこれ!」
三十五年ものの「ト・レラール」である。
お高い値段に属するのに、後から聞いた話ではオヤジ、箱買いしたらしい・・・・また・・
「演歌の大御所みたいに、大人買いして」
何やってもダイナミックで楽しそうやな オヤジ。
オヤジFの飲み物は?
大御所の飲み物は 文中で出てきているものが主でワインはさまざまなんで。
一度持って来てくださったイタリアトスカーナ地方の赤「ルーチェ」
何も言うことはない旨かった。
つづく
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